私とメガネくんの秘密のレッスン


「それって俺のこと
 "好き"なんじゃねぇの?」



「っ!」



"好き"?



「え…あ…


えと…"好き"って?」



白石くんが髪を撫でていた手を
私の首から顎へ移動いていく。



「しらっ」



それがどうもくすぐったくて
余計に私に羞恥心が取り巻いて
からだが壊れそうになる。



「どうなの?
 それともそれさえも
 まだ理解できてない?」



「っ!
 いっ、一端離れて!」



ダメだ。
恥ずかしくて心臓が
痛いほどはねあがってる。

このままだと私っ…


白石くんから離れようと両手で
胸を押してみるけど


やっぱり男の子なだけあって
びくともしない。



「~っ!」



それどころか…



「あっ!」



「……逃げんなよ。」



私の両腕は白石くんに
よって掴まれてしまった。

そして距離を急接近させる白石くん。



「また逃げんの?
 得意だよね、それ。」



「に…げてなんかっ……!」



「逃げてる。
 今だって恥ずかしくて
 ドキドキが止まらないんだろ?

 だったら余計
 逃がさねぇよ。」



「っ!」



真剣な白石くんの目は
今にも撃ち抜かれそうなほど息苦しい。

なんなの?
この胸の締め付け…
それに今の白石くん…



「しっ、
 白石くんなんか変だよっ!」



「ほら逃げる。


 …で?
 どこが変なわけ?」



「にっ、逃げてない!


 とっ、
 図書館の時みたく
 強引だよっ」



も、もう
これ以上白石くんを見ることはできない!



「……ふーん。
 "強引"ね。
 じゃあ鈴村さんは
 それでドキドキしてるんだ?」



「しっ、知らない!」



可笑しそうに笑う白石くん。
やっと私の両腕を解放したかと思えば
ゆっくり横に腰掛けた。


…こ、
これじゃあ余計に私の心臓は休まらない。




「………。」



「………。」



「「………。」」




………なんですか、
この沈黙は……。













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