私とメガネくんの秘密のレッスン
────そして待ちに待っても居ない土曜日…
「え?!
もう来るの?!」
「お昼過ぎには先生が来るって
昨日話しておいたじゃない。」
「えぇ?!
聞いてないよぉ!」
そう、
私はてっきり夕方から来ると思っていたから
ゆっくりお昼ご飯を食べている最中だった。
もう!
お母さん言った気になってるけど、
昨日一言も教えてくれてないからね!
私と同じく、
黙々とご飯を食べていたのは
大学生のお兄ちゃんの鈴村光輝。
「は?!
家庭教師ってなんだよ!
先生って…もちろん女だよな?!」
「さぁ?
誰でもいいって言っちゃったから
性別までは知らないわよ。」
「それでも母親かよ!
そいつが野郎で彩乃に手ぇ出されたら
どうすんだよ!!」
「お、お兄ちゃん…
大丈夫だよ…。」
お聞きのとおり、
お兄ちゃんは超が付くほどのシスコン。
見た目はとてもカッコいいのに…
重度のシスコンのせいで恋人と
長続きした試しがない。
何故ならお兄ちゃんは
恋人よりも妹の私を優先させるもんだから
いつも彼女さんに睨まれていたっけ…。
「俺は反対だぞ!
こんな可愛い彩乃を見たら
手ぇ出さない野郎が居ないわけがない!」
「そ…そんな……
私を可愛いって言うのは
お兄ちゃんぐらいだから。」
ギャーギャー騒ぐお兄ちゃんに呆れながら、
残りのご飯を急いで運ぶ。
お母さんはお兄ちゃんの言い分も無視して
お皿を洗う強者でもある。
はぁ…
どんな先生なんだろ?
私だって正直男の人は嫌だ。
男の人と話したこともないし…
免疫がないせいでクラスの男の子たちとも
必要以上話したことがない。
どうか…
どうか男の先生ではありませんように!!
……だけどこの願いも
一つのインターフォンにより
ぶち壊されるのである。