私とメガネくんの秘密のレッスン
side 白石 潤
「はぁ?
家庭教師?」
「あぁ…
頼むよ…一時だけ俺に成りすまして
行ってくれないか?」
俺の名前は白石潤。
高校1年で学校では秀才とか言われちゃってる。
まぁ普通に授業受けてれば
覚えられる俺の脳は便利以外の何者でもない。
だがそのおかげで
今はピンチに立たされている。
「絶対に嫌だ。
どこの誰だかも知らないし、
万が一年上だったらどうすんだよ。」
俺はそれが一番心配だった。
誤って高校2年生だったらどうするんだ。
俺は教えることも出来ないし、
ハッキリ言ってバレる自信もある。
だけど…
「大丈夫だよ。
歳は潤と同じだし、
確か………あっ、やっぱり!
同じ学校の生徒だよ!」
俺の兄貴は中々譲ろうとしない。
それに馬鹿だろ。
同じ学校で同じ学年ならなおのこと
成りすましてだなんて行けない。
バレる可能性が大じゃねぇか。
「無理。
バレたら面倒。」
「なぁに言ってるのさ。
潤が掛けてるメガネを外せば
どうってことないと思うよ?」
「あのなあ………っておい!」
ひょいっと俺からメガネを奪う。
だー、くそ。
素顔だけは一番出したくねぇのに…
俺は昔からこの顔が大嫌い。
町を歩けば見知らぬ人から絡まれるし、
苦手な女もベタベタベタベタ…
だから俺はこのメガネと言う
必須アイテムで顔を隠している。
まぁ元々目が悪いのもあるから
好都合だ。
「返せ。」
「頼むよぉ…。
お兄ちゃんどうしても
無理なんだ…。」
俺と全く同じ顔が今にも泣きそうな顔で
俺をじっと見る。
あー、くそ!
「………一時だけだからな。」
「わぁ!
ありがとう!
夏休みもお願いするからね!」
「一時だけじゃねぇじゃねぇか!」
「じゃあヨロシクね!」
「ふざけんなー!」
………………
と言う流れがあって、
俺は明日から同級生に教えるはめになったのだ。