闇に光あれ。〜愛されなかった総長。愛する偽りの心を持った黒猫。〜
泣きながら嗚咽混じりの声を出す凛花。
そんな凛花を抱きしめながら、俺は一言だけ言った。
「凛花。お前、愛されてんじゃん。」
俺には心から笑うということができないから薄っぺらい笑顔を貼り付けて言う。
『駄目なの。この家にいるとお父さんが許してくれないように感じちゃう。』
「じゃぁ、俺の家に来いよ。
行っとくけど、この家に帰ってこないほうが許してくれないんじゃないか?」
『そっか…そうだよね。』
そう言って涙を拭うと凛花は立ち上がって、
『遼矢、ありがと。』
そう言った。
心から笑ってる。
凜花は、ある程度方をつけてたんじゃないか。
あとは唯一残ったこの家、3人がいたこの家とどう接するべきか分からなかっただけだろうな。
どうしても見送ると聞かない凜花に見送られて単車に股がる。
エンジン音を業と鳴らして凜花が家に入って、家の明かりが灯ったのを見てから、単車と出発した。
陰っていた月は顔を出していた。