闇に光あれ。〜愛されなかった総長。愛する偽りの心を持った黒猫。〜
血、血、血__。
おぞましい血飛沫。
真っ赤に染まった部屋。
壁にまで飛び散っているそれは、まだ乾いていなくて俺の靴を汚していく。
さらに部屋を進むと積み上げられた人間の量に驚く。
軽く40人はいる。
倒れてる体型を見ても図体のデカイ奴ばかりだ。
奥には月日が入る窓があってその月を見上げる一人の女。
さっきから俺が探してる女だ。
『さすが新崎だな。私の居場所がわかるとは。』
振り向いた奴の顔を見て目を細める。
「当たり前だ。お前の場所なら目を瞑っていても分かる。光希(コウキ)」
そう、今俺と話しているコイツは日本に名前を轟かす伝説の潰し屋。
光希(コウキ)
少し盛り過ぎたな。
クツクツと笑うと俺に向かって訴えかけるように喋り出す。
『今だから言える。私がこの様な姿になったのは、亡くしたものに近づくためだ。』
光希は自分自身の今の姿を望んでいないのか?
それなら、俺が…
『新崎が私を殺してくれるの?』
あらかじめベルトに刺していたナイフを引き抜く。
「あぁ。俺がお前を殺してやる。」
そのサバイバルナイフをぎゅっと握り直して光希と向かい合った。