闇に光あれ。〜愛されなかった総長。愛する偽りの心を持った黒猫。〜
『汚い手を使う。私は女だぞ?』
俺はこいつを殺そうとしている。
だけど、こいつは余裕だ。それがムカつく。
まるで、俺みたいなちっさい男は相手にならない。と言っているようだ。
『確かに、新崎は強い。同じ立場同士だから私が強いだけだ。
だがな、お前が仲間を作ることが出来たなら私はお前に負ける。』
今の私は仲間を作らないからな、無機質な笑いで芯のない声で言う。
悲しそうな笑いを見て、こいつも俺と同類なんじゃないか?と思ってナイフを下げる。
『どうした?戦わないのか?』
首を傾げる動作が妙にかわいい
「なぁ、お前は誰かから愛情をもらったことはないのか?それか、誰かに愛情を注いだことはないのか?」
«愛情»、俺に似合わないワードだな。
『…おかしなことを言うやつだ。…私は黒猫だぞ?どの色にも染まらないんだ。だから、愛情なんてものは無縁なんだよ。』
無表情。じっと見つめられ、言っていることが真実ということを物語る。
『そういうお前も無縁だろ。』
ちっ…なんでも分かってるな。
「なんでそんなに知っている?」
アイツの目に一瞬迷いが浮かぶ。
目もそらされた。
けど、ほんの一瞬…。
逸らされていた目があった。
次の瞬間。
アイツは俺に意味の分からないことを言った。