闇に光あれ。〜愛されなかった総長。愛する偽りの心を持った黒猫。〜
『もう、こんな時間か。』
光希が呟き、見てみた時計は午後7時を指す。
結局、今日の昼間はどこにもいかず、それぞれが自分の事をしただけだった。
夜ご飯は光希がオムライスを作った。
コイツ、料理できたのか。意外だ。
『あ。今、私が料理を作ることが意外だとか思っただろ。これでも、そこら辺にいる女よりは作れるぞ。』
自信満々らしいオムライスはそこら辺にいる女どころか一流のシェフよりも上手いんじゃないかと錯覚した。
「今日はどこかへ行くのか?」
食事が一通り終わると光希は再びキッチンに籠って何かを始めた。
『いや。今日はお前と一緒にいる。』
奥の方から聞こえる声。
それを聞いたとき少しだけ安心した。
『出来た!』
皿を二枚お盆に乗せてスキップをしながら、俺の前に皿を置く。
『潰し屋特性、クリームケーキ♪』
見事なまでに白いクリームが乗ったスポンジケーキはとても甘そうな。
無意識のうちに眉をしかめた。
『そんな顔をするな。潰し屋特性だ。有りがたく食べろ。』
どうだと言わんばかりに胸を張る光希。
しかたねぇ。食べるか。
嫌々ながら口に運んだそれは甘さが殆ど無くて、上にかかっているシロップはコーヒーだった。
コーヒーの風味がするケーキはすぐに食べ終わってしまった。