闇に光あれ。〜愛されなかった総長。愛する偽りの心を持った黒猫。〜
「帰る。気分が悪ぃ。」
そう言って席を立つ。
「おい!まだ挨拶しかしてねぇぞ。」
唯我。あとから、マジで捻り潰す。
「どうせ決めることもないんだろ?」
毎回そうだ。普通に話して酒飲んで煙草吸って帰る。それだけだ。
図星を突かれたのか黙る唯我。
「遼矢!待って、私も帰るわ。」
凜花の声が聞こえたが置いて行く。
すぐに追いつくだろう。
数分歩いた時。
「待ってって言っただろうがー!!!」
叫びながら蹴りをかましてくる。
俺は振り返ってその足を手で止める。
凜花は強い。そこら辺の組の男を相手にしても負けない。
蹴りなら唯我や翔依も倒されるだろう。
だけど、俺は片手で受け止めれる。
悔しさで顔を歪める凜花。
その凜花に向かって言う。
「強くなったじゃん。」
少し広角を上げて言う。
こんな時、凜花はすぐに赤くなる。
自分の蹴りが止められて恥ずかしいのだろう。
「帰るぞ。」
また、前を向き直って歩く。
後ろからトボトボ歩いてくる影は過去に闇を持った女だ。
他の二人もそうだ。
俺もまた…その闇を持った男だ。