闇に光あれ。〜愛されなかった総長。愛する偽りの心を持った黒猫。〜
《人身売買》
この世の中に許されてはいない。
そんな、契約とも言えるソレは裏社会に根強く引っ付いている。
ソレを軽々しく口にする彼女の声は少しだけ震えていて、明らかに動揺している。
『ダークエンペラーは裏社会の情報を集める天才だ。私の情報は大半手に入れてるだろうな。』
「大半?世界一なんだろ?全て知られているんじゃないのか?」
『勘違いするな。ハリウッドが世界一の規模なだけだ。個々の実力はそう高くない。ダークエンペラーも例外じゃない。』
「そうか。」
一呼吸おいて、再び喋りだす。
『私は何回も闇の手によって売り払われ、買収された。その理由は様々だ。
ただの、愛人役を頼まれたり。
恋人ごっこに付き合ったり。
ストレスの発散のためにボコられたり。
ある人間の暗殺を持ちかけられたり。
性欲処理なんかはしょっちゅうだ。
笑えるだろ』
いきなりスウェットを脱ぎ出した光希に焦る。
「なにやってんだ!?」
『私の体を見てくれないか?』
俺の目をまっすぐに見て、不安が目の奥を掠めるのが見てとれた。
そして、『見たくないなら見なくていい。』悲しそうに目を下げる。
「見るよ。少しでも、俺にもお前の荷物を背負わせろ。」
かっこいい台詞を吐いた後で俺は絶句した。