闇に光あれ。〜愛されなかった総長。愛する偽りの心を持った黒猫。〜
『しんくぅ~ん!ここよー!!』
語尾にハートが付く勢いで俺を呼ぶカオルさん。
狭い店内にその声はよく響いて他の客に迷惑だ。
「カオルさん。他の客に迷惑なんで」
『え?ここ、他の客来ないよ?VIPルームだもの!!しかも、貸し切り。だから、私たちの話は誰にも聞かれない。』
「どうして、そこまでするんですか?」
『あの光希の情報よ?裏社会では億の値段が付くの。そんな情報を人が居るところでペラペラ喋らないわよ。』
カクテルに付いているサクランボを口に放り込むカオルさん。
唇には真っ赤な紅。
派手な化粧は全体的に黒くて闇を思わせた。
『じゃぁ、話し始めようね。光希はね、愛を知りすぎた故に愛に溺れ、愛を誰かに捧げたいと思ってるのよ。』
ズバリそう言うことなのだろう。
昨日の夜、光希が自らいった言葉を簡単にするとカオルさんが言った内容と同じになるだろう。
『貴方は愛を知らない。だからこそ、光希に溺れないように忠告しておくわ。あの子の裏社会の名はブラックキャット。無理に近づくと逃げられるわよ。』