闇に光あれ。〜愛されなかった総長。愛する偽りの心を持った黒猫。〜
『それと、光希は貴方より闇の世界を潜り抜けてる。光希の忠告には耳を傾けなさい。
裏社会の底無し沼に引き込まれるよ。』
「あぁ。そんなの、十分に分かっている。」
『……つ、も、り、でしょ?』
「……」
なにも言えない。
所詮、俺は裏社会を覗いただけの人間だ。
裏社会の詳しいところまで語れるわけがない。
『正直に言うと、光希の情報は、ひとつしかわからなかった。
その情報以外、厳重にロックががかかってた。解けないの。何回も攻撃を仕掛けてもね。
昨日、少しだけ聞いたんじゃない?光希から。』
俺は少しだけ頷く。
『そう。やっぱりね。
どう思った?あなたが知ってる裏とどんな違いがあった?』
ニヤニヤ笑っている顔とは対照的な声。
「俺は、入り口しか知らないと思った。」
『そうね。私もそう思ったから。』
「あいつは、これ以上重いモノを背負っていると思うか?」
『それはどうかしら。人身売買以外に重いモノなんてほんの少しよ?
光希がそのほんの少しの罪を高確率で背負っているとは考えがたいわ。』