闇に光あれ。〜愛されなかった総長。愛する偽りの心を持った黒猫。〜
「その、ご主人の事を聞いていいか?」
『ダメだ。迷惑がかかる。』
「そうか。」
『そろそろ、出るかなぁ』
上半身を起こして延びをする光希。
胸元に目がいく。
「あのさー。服きろ。また、したくなっちまうだろ。」
こっちを見てにこりと笑った光希の顔には照れなんてなかった。
それが悔しかった。
光希にとって行為が恥ずかしいものではない事も悔しかったが、光希に意識されていないと言うことが一番悔しかった。
なんでこんなことを思うか分からない。
分からないはずなんだ。
光希が俺にくれたものが何なのか。
俺が今持っている感情が何なのか。
それを知りたいがために光希と暮らしているんだ。
『どーした?』
「いや、何でもない。行ってこい」
腑に落ちない顔をした光希から目を逸らして布団に潜り込んだ。