闇に光あれ。〜愛されなかった総長。愛する偽りの心を持った黒猫。〜
「お前誰だ?」
一応は客なのでソファに座ってもらい、お茶を出す。
『あぁ。ご丁寧にありがとうございます。私は有福來矢(アリフクライヤ)と申します。以後お見知りおきを…。』
へらへら笑った顔が気にくわない。
「光希の何なんだよ。」
『僕が?…僕はね、光希と一夜を過ごす関係であり、主治医ってところかな。』
<一夜を過ごす関係>
この言葉にひどく嫉妬している自分に気がつく。
「闇医者か?」
『まあまあ、そう言うところですかね。』
銀縁フレームの眼鏡の奥。
ニヤニヤと細められた目は、とても気味が悪かった。
pullpull…
『あ、僕の携帯だ。ごめんね~』
來矢と名乗る男は俺の目の前で堂々と話始めた。
『はい~。……そうですか。1000ほどいりますが、いいですか?…はい。じゃあ。』
通話終了ボタンを押した有福はすぐに立ち上がった。
『また、麻酔が切れる頃に来ます。では、』
颯爽と去っていく奴は、音もなく消え去った。