闇に光あれ。〜愛されなかった総長。愛する偽りの心を持った黒猫。〜
『上手く引っかけられたって訳ね。まあ、いい。そのくらいの事は。』
声がどんどん小さくなっていって、最後には寝息に変わっていた。
体力が削られているんだろう。
ただでさえ、ここ最近光希は気を張っていたんだ。仕方ないだろう。
光希の柔らかい髪の毛を撫でてやる。
俺はやっぱり何も知らない。
こいつのことを。
守りたいと思う、こいつのことを。
だから、このままではダメだと思うんだ。
全てが偽りかもしれない。
そんな光希を守ってやりたい。
俺はいつでも準備は出来ている。
いつでも心を開いていいんだぞ。
声には出さず、願いを込めた手を光希の頭に乗せて撫で続けた。
『お姉様……』
苦しそうな悲しそうな声が耳にはいる。
こいつには姉がいるのか?
光希は息苦しそうに寝返りをうった。
漆黒の髪の毛の隙間から見える白い肌。
その瞬間。俺の頭の中をひとつの思い出がめぐった。
驚きを隠せなかった。
何で今まで気がつかなかったんだ!
「お前は初代麒麟にそっくりだ……」