闇に光あれ。〜愛されなかった総長。愛する偽りの心を持った黒猫。〜
『愛してる』なんて言葉はいくらでも出て、その度に騙されてる奴らを見てきた。
『愛してる』といって偽りの愛を注ぐことが、飼われる身である私の仕事だった。
何年も同じことを繰り返して、体を重ねて、偽りの愛をささやいて…いつしか本物の愛という感情はなくなっていたのかもしれない。
そんな私が見つけたのは、愛を求めている人間。ただ、今までの狂い乱れていたような愛ではなかった。
ただ、ひとりから注がれたいという純粋な気持ちだった。
愛を知りすぎたから、誰かに愛を注いであげたい私は、その人間に言ったんだ。
『私がお前を愛してやる』
それをいった瞬間、悟った。
悲しむような微笑むような泣くような、複雑な表情で私を見る人間を見て。
多分、私は変われるんじゃないだろうか。
狂って狂って狂いまくった私の心を癒してくれる人間に出会えたのではないだろうか。と……。
それでも、やっぱり私は闇の奥深くを知っている代償は必ず償わなければならないことを。