君がいるから~雪の降る夜~
夜道を歩くふたり
怒れフグみたいにプリプリと、肩をいからせた彼女が前を歩いている。
東京で久しぶりに降った雪は、あっという間に辺りを白く染め、記録的な大雪と報じられていた。
車や人の姿もなく、まるで異世界に迷いこんだみたいだ。
常夜灯に反射してキラキラ光る新雪の上に、彼女の足跡だけが残っていく。
「なぁ、機嫌直してよ」
何回同じ言葉をかけたかな?
その背中にかける言葉は、むなしく無視されている。
このままでは、白くなっては消えていく吐く息のように、俺も消えてしまいそうだ。
仕事で多忙な毎日。
度重なるデートのキャンセルで、とうとうキレてしまったらしい。
わかるよ、うん、わかる。
俺だってどんなに会いたかったことか!
でも、俺にもどうにもできないことはある。
「なぁ、頼むよ。せっかく会えたんだから楽しく……」
雪を踏み潰すようにして歩く彼女は後ろの俺を振り向きもしない。
どうすれば機嫌を直してくれるのか?
お手上げ状態の俺は、困り果てて愛想笑いを浮かべるしかなかった。
東京で久しぶりに降った雪は、あっという間に辺りを白く染め、記録的な大雪と報じられていた。
車や人の姿もなく、まるで異世界に迷いこんだみたいだ。
常夜灯に反射してキラキラ光る新雪の上に、彼女の足跡だけが残っていく。
「なぁ、機嫌直してよ」
何回同じ言葉をかけたかな?
その背中にかける言葉は、むなしく無視されている。
このままでは、白くなっては消えていく吐く息のように、俺も消えてしまいそうだ。
仕事で多忙な毎日。
度重なるデートのキャンセルで、とうとうキレてしまったらしい。
わかるよ、うん、わかる。
俺だってどんなに会いたかったことか!
でも、俺にもどうにもできないことはある。
「なぁ、頼むよ。せっかく会えたんだから楽しく……」
雪を踏み潰すようにして歩く彼女は後ろの俺を振り向きもしない。
どうすれば機嫌を直してくれるのか?
お手上げ状態の俺は、困り果てて愛想笑いを浮かべるしかなかった。
< 1 / 5 >