君がいるから~雪の降る夜~
「くぉ~の~やったなぁ~!」

俺は、次々と雪だまを作っては投げる攻撃に出た。

「きゃっ待って! あっ」

背中を向けて逃げ出す、彼女のお尻に命中。

「やったわねー!!」

さあ、ふたりで雪合戦の始まりだ。
しんしんと降り続く雪の中、他に誰一人と歩く姿のない銀世界で、楽しそうな声を響かせてふたりは夢中になって雪だまを投げ合った。


ーーーーー数分後。

「さ、寒い……」

服についた雪が溶け、ふたりとも着ていた上着がびしょびしょに。
指は固まったように、動かなくなるほど、冷えきった。

「か、帰ろうか……」

「う、うん……」

歯をガチガチ鳴らし、ぶるぶると震えながら肩を寄せ合う。

「うちであったかいものでも食べようぜ」

「……鍋がいい」

「いいよ」

俺が頷いたら、彼女の寒さでひきつった顔に、笑顔が浮かんだ。

「勇気、作ってよね」

「いいよ」

俺の凍った顔が緩む。
険悪だったムードが、雪合戦のおかげで柔らかくなった。
むちゃくちゃ冷えたけど。

一緒に並んで歩く彼女は、寒がってはいるけれど、もう怒ってない。
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