ろじうら喫茶 afterstory
女性が指差したのはすぐそばにある十字路。
そのまま指が右側の道を指し示す。
「向こうですね!
ありがとうございます」
勢いよく頭を下げてまた走り出した竜二は
教えられた通りに十字路を右に曲がり
視線をくまなく動かして晴人の姿を探す。
「晴人くーん!!」
閑静な住宅街で、目につくものは何もない。
チラホラと灯り始めた街灯に、焦りばかりが募っていく。
「…晴人君……」
激しい息切れの合間に、苦しげに呟かれた言葉は
誰にも届くことなく小さくなって消えていく。
ガクガクと震える膝が体の限界を知らせている。
不意に、浮かんできたのは悲しげな梨香の顔。