ろじうら喫茶 afterstory
にっこり笑った香をちらっと横目で見つめると
一歩前に出たその体が晴人の前に立ちふさがるようにして足を止めた。
「ここが、わたしのオススメのお店です」
手で指し示された建物を見上げると
看板に書かれた文字に思わず目を見開いた。
赤い看板に白で書かれたのは、“中華料理”の文字。
「中華…ですか」
思わず晴人の口から驚きの声が漏れる。
「女性のランチは洋食だって
決め付けてませんでした?」
楽しげな香の声に我に返った晴人は大きく頭(かぶり)を降る。
晴人の必死な様子に香はまた小さく笑った。
「早くしないと、ゆっくり食べられないですよ?
このあとには映画も控えてるんですから」
いたずらっぽく笑って見せる香に
晴人も恥ずかしそうに笑って頷いた。
*