ろじうら喫茶 afterstory

しきりに涙を拭う晴人の背中にそっと手を添えて
優しく背中をさする。

次第に落ち着いてきた様子の晴人に
香は背中に添えていた手を離す。


「…香さん」


膝に戻した香の手が、意外にも強い力で晴人に掴まれる。

夕暮れに陰っていく晴人の顔が次第に赤くなっていく。


「…映画館での続き、なんですけど
さっき言いそびれた、大事な話…してもいいですか…?」


掴まれた手の平から晴人の温かさが伝わってくる。

じんわりと温もっていく手の平に
香の頬も次第に熱を持っていく。


「香さん」


かすかに潤んだ瞳が、灯り始めた外灯に反射してキラキラと輝く。

優しく名前を呼ぶ晴人の声に
いつものおどおどした気弱なところはなかった。
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