聖なる夜に、幸せを。
1~信じる心~
1ヶ月後は、待ちに待ったクリスマス。
私、夜浪聖奈(よるなみ・せな)はクリスマスを待ち遠しく思っていた。
だって、クリスマスって、良いことずくしじゃん!
ジューシーなチキンに、可愛らしいクリスマスケーキの数々。
それにサンタクロースからのプレゼント!
1年でこんなに楽しい日はないよ!!
「夏ちゃん、もうすぐクリスマスだねぇ」
暖房の良く効いた教室で、私は親友の蜂ヶ谷夏(はちがや・なつ)ちゃんに話しかける。
白いニキビ一つない頬が、暖房で少し赤みを帯びている。
「そうだねぇ…」
夏ちゃんはどこか嬉しそうじゃない。
クリスマスほど楽しい日はないはずなのに。
「クリスマス嫌いなの?」
「だって、寒いじゃない」
夏ちゃんは寒がりだ。
今も膝には4枚もの小さな毛布をかけているし。
帰り際には、マフラー・耳当て・手袋は勿論、新しくカイロを開け、カイロを突っ込んだポケットに手袋をしながら突っ込んでいる。
見ているこっちが暑くなりそうだ。
「確かに寒いけどさぁ。
だってサンタクロースからプレゼントがもらえるんだよ?」
私が言うと、夏ちゃんは「はぁ?」と顔を歪めた。
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