聖なる夜に、幸せを。
「あんた馬鹿?
サンタクロースなんているわけないでしょ」
「どうしてそんなこと言うんだよ夏ちゃん!
サンタクロースはいるよっ」
「高校生になってもサンタを信じる人がいるなんてね。
聖奈ぐらいだと思うわ」
「夏ちゃんは信じないの?」
そんな人がいるなんて…。
「冷静に考えなさいよ聖奈。
サンタクロースって真夜中に子どもの枕元にプレゼント置くのよね?
どう考えても不法侵入者じゃないの」
「夏ちゃん知らないの?
サンタさんはね、魔法が使えるんだよ!」
「…ハァ」
夏ちゃんは溜息を吐いた。
「サンタって人間よ。
人間が魔法使えるわけないでしょ」
「さ、サンタさんは特別なんだよ!」
「…もう良いわ。
勝手にサンタクロースに憧れていなさい」
そう冷たく言った夏ちゃんは、カイロを握りしめた手をこすり合わせていた。
サンタクロースは、いるはずなのに…。
何で夏ちゃんは信じないんだろ?
そんな寂しい人生、私は嫌だけどな。
よく考えたら、夏ちゃんは幽霊とか妖怪とか、非現実的なことは信じない。
私もその辺りは信じていたりいなかったりするけど。
サンタクロースはいるって信じたい。
はぁ…。
サンタさん。
もしいるのなら、私の前に来て、いるって証明してよ……。