聖なる夜に、幸せを。
そして迎えた土曜日。
私は気合を入れて、しかし派手な子に見られないよう、抑えた服を選んだ。
いつもは朝はねている髪も、昨日から手入れをしていたお蔭なのか、寝癖はない。
…バッチリ。
彼女として紹介されても、何の問題もない。
私は待ち合わせ時間の10分前には到着した。
さすがにいないだろうと思ったけど、そこにはすでに三田くんはいた。
銀髪だから、目立つ見た目の彼は、多くの女子から話しかけられている所だった。
…話しかけづらいなぁ……。
「あ、夜浪さん」
「み、三田くん」
三田くんが私に気が付き話しかけると、彼を囲っていた女子たちの視線が私に集まった。
その視線は、「何でアンタみたいな地味子が?」と言う疑問の声が混じっていた。
私は気が付かないふりをして、三田くんに変わりなく近寄る。
「夜浪さんは、君たちとは違うから」
三田くんは眩しい笑顔で言い放った。
女子たちの視線に、気が付いてくれたみたいだ。
…優しいなぁ、やっぱり。
女子たちは諦めたように、彼から離れた。
私は小さく微笑んだ。
「三田くん、ありがとう」
「俺は何もしていないよ。
さ、行こうか夜浪さん」
さりげなく手を握ってくれた三田くん。
その手に導かれながら、私は三田くんの家を目指した。