聖なる夜に、幸せを。
「…大きい家だね」
三田くんの家は、大きなタワーマンション。
遠くにある海まで見られるんじゃないんだろうか?
「そうかな?」
「うん」
「家にもう父さんも母さんもいるよ。
あとは兄さんもいるかな」
お兄さん?
広いエレベーターに乗り込みながら、私は尋ねる。
「ねぇ三田くん。
サンタクロースは家系って言っていたよね?
お父さんもお母さんもお兄さんも、サンタなの?」
「そうだよ。
でも母さんの両親は違うよ。
父さんの家系がサンタだからね。
兄さんも夜浪さんみたいに、サンタクロースを信じている彼女と一緒に、仕事をしているよ」
そうなんだ…。
「つまり、三田くんのお母さんも、サンタクロースを信じている人なの?」
「…そうなるね」
一瞬三田くんは寂しそうな笑顔を見せた。
しかしその笑みも一瞬で消え、すぐにいつもの優しい笑顔に戻る。
着いたのは、2階の扉の前。
私がいるから、エレベーターに乗ってくれたみたい。
優しいなぁ。
――――三田くんが一瞬見せた寂しそうな笑顔の理由。
私はすぐに知ることとなる。