聖なる夜に、幸せを。






「聖奈さん、クリスマスのご予定は?」

「え?予定、ですか?」



予定は…



「三田くんと仕事と聞いているのですが…」

「あら、それ以外にはないの?」

「ええ。
両親は毎年恒例のクリスマス旅行ですし、いつも行く祖母の家も、今年は行きませんから。
予定がなく、困っていた所、三田くんからパートナーのお誘いを受けまして」

「そうなの。
良かったわ。他の予定が入っていなくて。
突然ドタキャンする方もいらっしゃるからね」



ドタキャン…。

普通の約束でも困ることだしね。




「…聖奈さんはクロスからどれぐらい聞いている?」



男性が私を見つめる。

少し怖気づいてしまうけど、素直に答える。




「三田くんの家系が代々サンタクロースだということ。
サンタクロースを信じている同い年の子と一緒に、聖なる夜にプレゼントを配ることを聞いています」

「…クロス」



男性が先ほどより鋭くなった視線を三田くんへ向ける。





「何故その先を言わなかった。
聖奈さんにその先を伝えてから来なさいと言っただろう」




その声は、

怒っているようにも聞こえた。







< 26 / 59 >

この作品をシェア

pagetop