聖なる夜に、幸せを。
「聖奈さん、クリスマスのご予定は?」
「え?予定、ですか?」
予定は…
「三田くんと仕事と聞いているのですが…」
「あら、それ以外にはないの?」
「ええ。
両親は毎年恒例のクリスマス旅行ですし、いつも行く祖母の家も、今年は行きませんから。
予定がなく、困っていた所、三田くんからパートナーのお誘いを受けまして」
「そうなの。
良かったわ。他の予定が入っていなくて。
突然ドタキャンする方もいらっしゃるからね」
ドタキャン…。
普通の約束でも困ることだしね。
「…聖奈さんはクロスからどれぐらい聞いている?」
男性が私を見つめる。
少し怖気づいてしまうけど、素直に答える。
「三田くんの家系が代々サンタクロースだということ。
サンタクロースを信じている同い年の子と一緒に、聖なる夜にプレゼントを配ることを聞いています」
「…クロス」
男性が先ほどより鋭くなった視線を三田くんへ向ける。
「何故その先を言わなかった。
聖奈さんにその先を伝えてから来なさいと言っただろう」
その声は、
怒っているようにも聞こえた。