聖なる夜に、幸せを。
「…言うタイミングを逃して」
「馬鹿か貴様は!!」
突然立ち上がり、男性、もといお父さんは怒鳴った。
天井からぶら下がっている高そうな電気が揺れる。
「お止めなさいゼント。
聖奈さんのいる前で、怒鳴らないでください」
先ほどから笑みのみ浮かべていた女性、もといお母さんはお父さんを宥める。
お父さんの名前はゼントと言うらしい。
ゼントにトナイにクロスに、全員日本人離れした名前だな。
日本語を流暢に話すのに。
「…桜子(さくらこ)。
聖奈さんを連れて、クロスの部屋へ連れて行け。
それで、クロスの説明していなかった“掟”を話してあげなさい」
「…わかりましたわ。
聖奈さん、こちらへどうぞ」
桜子ォ!?
何でこちらは日本人っぽい名前なんだ。
真ん中はいないのかな…?
私はわけのわからぬまま、桜子さんと一緒に立ち上がり、リビングを出た。
「どうぞ。クロスの部屋ですわ」
「わぁっ…」
部屋の中は、黒と白で統一されていて、かっこいい部屋だった。
その上物が少なく、綺麗な部屋だった。