聖なる夜に、幸せを。








「ごめんなさい先ほどは。
クロスの父親…ゼントは普段は温厚なんですけど、やはり“掟”が関わると、ああなってしまうんですの」

「いえ、大丈夫です」

「クロスも忘れているんですわ。
クロスにパートナーが出来たのは、初めてですもの」



そうなんだ…。

最近はサンタクロースを信じていない人が多いって三田くん言っていたっけ?




「ワタシはサンタクロースの家系ではないので、詳しくはわからないんですけど」



桜子さんは説明してくれた。

…哀しい掟のことを。




「サンタクロースはご存知かと思いますけど、基本男がなるんですの。
最近パートナー制度が導入されて、今は2人でサンタクロースですけど。

サンタクロースの家系に生まれた男の子は、生まれた瞬間から運命を決められているんですの。
同い年のサンタクロースを信じる女の子とパートナーを組みなさいと言う。

そのパートナーは仕事上だけだと思われていますが、実際は違います。
聖なる夜の仕事…クリスマスが終わっても、パートナーはそのままパートナーです。

…永遠のパートナーの結末、どうなるかわかりますか?」




永遠のパートナーの結末?

…もしかして。




「結婚、ですか…?」




結婚した相手のことを、パートナーと呼ぶし。







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