聖なる夜に、幸せを。
「え?」
「私ね、ずっとサンタさんに会いたかったの!
でも、お母さんもお父さんも会えないのよって。
本当にいたんだねぇ!
いつもプレゼントありがとうっ!」
私の軽いマシンガントークに、驚く三田くん。
「あ、ありがとう。
そんなに言ってくれるなんて…俺も嬉しいや」
「ところで、何で三田くんは私に教えてくれたの?」
「あ、ああ。
実は、サンタクロースの家系にはある掟があって」
「掟?」
「うん。
聖なる夜…すなわちクリスマスの日には、俺たちサンタクロースはプレゼントを配る。
ただ、俺だけじゃ配れないんだ」
「そうだろうね。
トナカイさんとソリが必要だもんね」
「あ、それはある。
必要なのは、パートナーなんだ」
「パートナー?」
「ああ。
2人1組で子どもにプレゼントを配るんだ。
そのパートナーに、夜浪さんならない?」
「え?
…えええぇぇぇぇええ!?」
思わず近所を無視し、叫んでしまった。
人通りが少なくて良かった。
「な、何で私?
ほ、他の人だっているでしょう!?」
パートナーになるほど、私三田くんと仲良くないのに…。