風がさらった恋心。




慌てて教室に戻って鞄から携帯を取り出すと、やっぱり通知が来ていた。




『学校終わった!20分後くらいには着くと思うけ』

『既読もつかんけど、どうかした?』

『なあ、葵?何かあったん?』




……数分返事がないくらいで大袈裟すぎる。

何かあったかなんて心配するほどの時間じゃないでしょ。


面倒だなって思う反面、こうやってまだ自分を心配して気にかけてくれる存在がいることに密かに安心するの。




『礼央は本当、大袈裟過ぎるっちゃ。了解、待っとるね』




また何か送られてくる前に送信する。

その瞬間に既読がつく。


……ずっと画面を開いてたんだ。



相澤 礼央(あいざわ れお)。

ここからバスで20分くらいの場所にある、なかなかの進学校に通う私の幼なじみ。




『心配するに決まっとるやろ。葵、目離したらどこか消えそうやもん』




ピコンという可愛い音と共に表示された重たいメッセージ。





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