風がさらった恋心。



私は基本的にそういう情報に疎いから知らなかっただけで、全校集会で行われる大会の成績発表をしっかり聞くと、何度もその名前を聞いた。



スタイルは抜群に良いけど、特にイケメンじゃない。そこそこって感じ。

別にモテるって話も聞いたことがない。


シャイなのか、今はそういう事に興味がないのか分からないけど、女子と喋ってる姿を見たことがない。

高校くらいまでって運動神経が良いだけでモテるものだと思ってたんだけどな。


それもこんな田舎の高校に、全国大会まで行くレベルの男子がいるんだよ?

女の子が騒ぐ基準ってよく分からないなあ。



……でもまあ、私も好みじゃないから人のこと言えないけど。





「あ、休憩かな……?」




走っていた集団がぞろぞろと校舎の方へと近付いてくる。

今日はいつもより10分早いんだ。あ、もしかして顧問が出張で朝からいないのが関係したりするのかな。


ぼんやりと、ただ何となく、そのまま目が一岡くんを追いかける。



水色が好きなのか、いつもそんな感じの色のTシャツを着て練習している彼は走ってなくても簡単に見つかる。




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