風がさらった恋心。
何だかキョロキョロしてるように見える。何か探し物かな?
私の通う青柳高校は、校舎から石の階段を下りるとグラウンドがある。
だから石段にタオルや水筒を置いて練習をして、休憩になると皆そこに集うんだ。
きっと何か探し物をしてるんだとしたら、そういった類のものだと思うの。
自分で置いた場所くらい、覚えておこうよーーそう思った時。
スッと顔を上げた一岡くんが、こっちを見た。
思わず、目を見開いた。
驚きで肩が跳ねた。
……咄嗟に、窓から離れた。
何やってるの。バカみたいに反応しすぎだよ。
これじゃ、こっそりと一岡くんに熱い視線を送ってたみたいに思われるじゃん。
だけど、ビックリした。
グラウンドで青春を謳歌する一岡くんと、穏やかな教室で青春を無駄にする私は、まるで別世界にいる感覚だったから。
それに、暇つぶしに見始めてからもうすぐ一年近く経つのに、こんなこと初めてだった。
「ーーあの、千葉さん!!」