風がさらった恋心。



……やっぱり彼が探しているのは、タオルだった。

だけど何て返事をしたら良いか分からなくて、私は返事もせずにとにかく一岡くんの机に向かった。



一番前のど真ん中。

彼の友達が絶対に授業がサボれなくて可哀想だって笑っていたから、覚えていた。




「……えっと、タオル…タオル」




帰る準備を終えたとは思えないほど教科書やノートが詰まった引き出し。

その一番上に見つけた、明らかに他とは違うものに手を伸ばした。


手繰り寄せれば、ふわりと柔軟剤の匂いがした。

だけどそれを見た瞬間、思わず笑ってしまった。




「一岡くん、どんだけ水色が好きなん……っ」





一岡くんが言ったように、ちゃんと引き出しにあったタオルは、水色に白のロゴが入ったものだった。

それを手にして急いで窓の前に戻ろうと思ったけど、ふとあることが頭に浮かんで足を止めた。

……一岡くんは、これがいるんだよね?ってことは、貴重な休憩時間に三階まで取りに来るってこと?


なら、私が持って行ってあげたほうがいいかな?






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