おいしいチェリーのいただきかた☆
「オーナー、木村さんが呼んでる。一緒に飲みたいって」
派手な巻き毛のコがカウンターの向こうからママを呼んだ。
このコはうちの No.3。いわゆるキャバクラ嬢。
そう、あたしのママはキャバクラのオーナーなのだ。
「木村さんが? もう……うちはクラブじゃないって言ってるのに。しょうがない人ねぇ」
苦笑しながらキッチンを出て行くママ。
ママはキャバクラ嬢じゃないから、普通、指名はできないんだけど、超お得意様に限り相手をすることがある。
「私みたいなオバサンのどこがいいのかしらね」ってママは言うけど、娘のあたしから見てもまだまだ若々しくて綺麗だと思う。
ママ目当てのお客さんも結構いるのだ。
みんな忙しく働き続け、お客さんの数がようやく残り少なくなったな、と思う頃には深夜1時を過ぎていた。