おいしいチェリーのいただきかた☆
「あっ! もうこんな時間! 比奈、ごめんね。終電過ぎちゃったわね」
一番忙しい時間帯が過ぎてほっと一息。
ココアでも淹れようかと思ってたらママが戻ってきた。
「明日は土曜日だからいいよ。眠くなったら控え室で寝てるから」
「後はあたし達が適当にやっとくわよ、比奈ちゃん。お客さんからもらったサクランボがあるから、これでお茶したら?」
髪をアップにした口元がチャーミングなメイさんがやってきた。
その後ろには、アカリさんや千尋さん。お客さんが少なくなったから、キャバ嬢のみんなも手が空いてきたみたい。
「えっ! サクランボ!? やったぁ~~っ! しかも箱入り! 超美味しそぉ~~っ!」
メイさんの手の中にある赤い粒入りの箱が光って見える!
うわっ。うわっ。夢の箱食い!?
「悪いわね、みんな。キッチンの手伝いなんてしてもらって」
「どうせもう閉店だし、いいんですよ。アフターもないですしね」
花が咲くような笑みをこぼすステキなお姉さま達。
うちのキャバ嬢はみんなすんごくいい人達なんだ。
お茶を淹れるのも待ちきれず、あたしは箱からサクランボを一個つまんで口の中に入れた。