おいしいチェリーのいただきかた☆
  
「うっひゃぁ~~っ。甘いぃぃ~~~~っ」
 
 
超幸せ。激幸せ。
甘酸っぱさが全身に染み渡る。
 
あまりの美味しさに頭が痺れてふわふわ意識が飛びだした。
 
 
「ホント、サクランボ好きね~比奈ちゃん。顔が蕩けてるわよ」
 
「だって美味しいんだも~ん。メイさんありがとぉ~~っ」
 
「いいけど、あんまりゆっくりもしてられないんじゃない? 明日はなんか用事があるって言ってなかった? デートなら、目にクマは不味いわよね」
 
「あ、そーか! 明日は午前からだった!」
 
メイさんの指摘で、明日のスケジュールを思い出した。慌ててエプロンを外す。
 
シャワーは帰ってからとしても、洗顔は今のうちに済ませたい。明日の肌がカサカサになっちゃう。
 
せっかくのサクランボだけど、タッパーで持って帰ってゆっくり食べるのは明日にしよう。
 
うぅ~名残惜しい。
 
 
「色んな男の人と付き合うのもいいけど、そろそろ一人に決まらないの? 比奈」
 
エプロンをメイさんに渡す横でママがため息をつきながら言った。
 
「一人だけなんてつまんないもん」
 
ちょっと唇尖らせ気味に答える。
 
ママは最近こういう質問をたまにする。
 
「比奈ちゃん、特別に好きな人はいないの?」
 
今度は千尋さんが訊いてきた。
 
お嬢様ヘアが似合う清楚なカンジの人。
 
「うーん……。みんな同じくらい好きなんだよね~」
 
「まだまだお子様だねー、比奈ちゃんは」
 
アカリさんに笑われる。
 
ぶう。みんなしてあたしをネタにして~~。
 
 
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