おいしいチェリーのいただきかた☆
「ちょっと髪も整えてみようよ! ムースとか使ってさ~。あたしがスタイリングしたげる!」
起き上がって、鏡台に駆け寄った。
きっとスタイリングすると、すっごくカッコ良くなる!
ウキウキしながらムース缶とコームを手に取って振り返ると――
あ。
「あ、あはは。それはまた今度お願いするよ」
引き攣り笑いを浮かべた小宮が、服を整え、鞄を抱きかかえて立っていた。
ああああああああ!! あたしってばせっかくのチャンスをぉぉぉ~~~!!
「待って小宮! せめて髪いじらせてぇ~~!」
「じゃあ比奈さん、僕、もう帰るから。また明日~~~っ!」
脱兎の如くの素早さで、部屋を走り去ってく小宮。
ちゃっかりメガネも消えている。
追いかけようとしたけど、何故か足がふらついてうまく立てない。
床に膝をつきながら、虚空に手を伸ばした。
「ごめん! もうやんないから! ネ! あぁ~~んコミヤぁ~~~! 行かないでぇ~~~~!!」
超がっくり。