おいしいチェリーのいただきかた☆
  
「えぇ~~ん小宮ぁ~~っ!」
 
「ちっ。ちがっ。ごめん、恥ずかしくて……」
 
「恥ずかしいって、なにが~?」
 
「ひ、比奈さんの顔、今、まともに見れないんだ。ごめんっ。近付かないで!」
 
 
ぎゃふん! 近付かないで、なんてヒドイ言われようじゃない?
 
 
「やっぱ、無理矢理キスしたから……怖くなっちゃったんだね……」
 
「えっ!? いや、そうじゃなくて」
 
 
あたしはしょんぼりと肩を落とした。
 
 
「小宮が女性恐怖症になったらあたしのせいだね……」
 
 
前に向き直ってトボトボと歩く。
 
もう出家しちゃおうかな……。酔っぱらって純情少年を襲うなんて、煩悩の塊なんだ、きっとあたし。
 
 
そんなあたしの背後から慌てた様子の小宮が声をかけてきた。
 
 
「違うから! 怖いとかじゃなくて、昨日の……ア、アレを思い出すと、体がおかしくなるから……」
 
 
「体がおかしくなる? なにそれ?」
 
 
振り返って小宮と目が合うと、小宮はまた真っ赤になって一歩退いて言った。
 
 
「ち……力が抜けて……立ってられなくなるんだ……」
 
 
はぁ? どういう症状なのそれ?
 
 
ちょっと考えて、恥ずかしい気持ちがぶり返してくるからだな、と分かった。
 
なんのことはない。触った時のいつもの小宮の反応だ。
 
 
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