おいしいチェリーのいただきかた☆
  
『あれ~~!? なんか酷いことになってるぅ~~!』
 
 
三階の窓にも届く大きな声。落ち込んでた小宮の耳にも入ってきた。
 
 
『えぇ~~っ。楽しみにしてたのにー! ちょっと麻美見てこれーっ!』
 
『うわぁ……これは酷いね』
 
 
花壇を見に来た女子生徒二人組。
 
小宮はハッと我に返って外を見た。
 
一人がよく通る声で残念そうにぼやいてる。
 
 
その時言った言葉が。 
 
 
 
『もうすぐ花が咲きそうだったんだよ! 信じらんない! こないだの台風のせいだねきっと!』
 
 
 
 
 
「――って言ったんだよ比奈さん。どう見ても人為的な跡があるのに。僕、思わず笑っちゃって」
 
「そ、そんなコト言ったっけかな。小宮の聞き間違いじゃない?」
 
熱くなった頬をプイッと背けて、あたしはとぼけてみせた。
 
確かに言ったような気がしなくもない。
 
段々思い出してきた。
 
 
「それから比奈さんは花壇に入って、草の根を掘り始めたんだ。制服の裾が汚れるのも構わずに」
 
 
微かな笑みを浮かべたまま小宮は続けた。
 
 
 
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