おいしいチェリーのいただきかた☆
 
   
「あの時の比奈さんの笑顔――沈んだ気持ちなんか一瞬で吹き飛んだよ」
 
「あ、あはは。そうなんだ。なんか照れるね」
 
 
ちょっと恥ずかしくなってきた。
 
つい、頭に手をやっておどけてしまう。
 
そんなあたしの様子にフッと頬を緩める小宮。それから前を向いて、どこか遠くを見つめるように言う。
 
 
「比奈さんの笑顔はいつも僕に勇気をくれるんだ。こんな自分でも、できることがあるんじゃないかって。頑張ってみようって……」
 
 
その目がとても優しくて、嬉しそうで――
 
 
「もぉ、言いすぎだよ小宮! そんなに褒めてもなんにも出ないからね!」
 
 
思わずプイッと顔を逸らした。
 
頬が熱くなってるのは気のせいってことにしとこう。
 
 
「あはは。寒いこと言ってるかな、僕? でも本当にそう思うから……ごめんごめん。そんなに嫌がらないで。……えっと、とにかく、それが初めて交わした言葉なんだ」
 
 
フォローになってるのかなってないのか。まだ目が笑ってる小宮が語るその先の会話は――
  
 
 
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