おいしいチェリーのいただきかた☆
『本当に、ありがとうございましたっ。なんとお礼を言ったらいいか……』
『いいよいいよ。土いじり楽しかったし。たまにはこういうのもいいね!』
『あたしはもう御免だわ』
『もぉ~麻美ったら! 麻美だって結構花好きなくせに! なんのかんの言っていつも花壇見に行くの、付き合ってるじゃん』
『……暇だから……』
微笑ましい光景に自然と頬が緩んだ。
(仲がいいんだな)
照れてそっぽを向く大人びた女子と、それを肘で小突く元気のいい女子。
互いを理解し、心から通じ合ってる。
気の置けない親友のいない小宮には、少し羨ましくもあった。
と、
『あ、そうだ! お礼ならさ!』
キラキラした目が唐突にこちらに向けられた。
『は、はい!』
声が上擦ってしまったのは力みすぎたからだ。
自分にできることなら何でもして返したい。
小宮は肩に力を入れて待ち構えた。
だけど返ってきた言葉は予想とは違っていて。
小宮はその後しばらく放心することになったのだという。