おいしいチェリーのいただきかた☆
「咄嗟だったから……」
「咄嗟でも凄いよ! 自分から触れたじゃん!」
あたしは身を起こして小宮の手をぎゅっと握った。
小宮は少し赤くなったものの、前みたいに固まることはなかった。
「慣れてきてるんだよ、確実に! ガチガチ症を克服してきてるんだよ!」
「そうなのかな……?」
「うん! きっと、あとちょっとだよ! あとちょっとで普通の男の子並みになれるよ!」
興奮して飛び上がりそうになった。
小宮があたしに触れるようになる!
小宮からのキスも夢じゃない!
嬉しくて嬉しくて、空に舞い上がりそうだった。
「ありがとう。比奈さんのおかげだね」
「いいのいいの。お礼は最後までとっといてよ。ちゃんとエッチできるようになるまで付き合うから、ネ?」
自分でも信じられないくらいテンションが上がってて。
この時、あたしは気付けなかった。
小宮の表情が一瞬曇ったことに。
「エッチできる日も近いね、きっと! そしたらお祝いしようね! 大きいケーキとか買ってさ!」
「うん……そうだね……」
「うわぁ~~っ! 超楽しみぃ~~っ!」
小宮の手をぶんぶん振って、浮かれまくったこの日。
きっと明日からはもっと深い仲になれる。
小宮と気持ちいいことができる。
そう信じて疑わなかった。
まさか――思いもよらなかったんだ。
小宮が、あんなことになるなんて。