おいしいチェリーのいただきかた☆
  
「ねぇ、お昼一緒に食べよ? イチョウのベンチで」
 
 
思わずそう誘ったのは、なんとなく胸がモヤモヤしたからだと思う。
 
小宮が、あたしと目を合わそうとしないから。
 
 
でもやっぱり小宮は目を伏せて言うのだ。
 
  
「今日は……お昼、食べないから……」
 
 
ズキン――
 
 
 
「じゃあ、あたしのお昼に付き合って!」
 
 
 
腕を取って、無理矢理外に連れ出した。
 
階段を下りて体育館へと向かう。校舎と体育館をつなぐ渡り廊下で道を外れ、煉瓦敷きの地面を歩いてイチョウの木に辿り着く。
 
 
この大きなイチョウの木の下にあるベンチは『イチョウのベンチ』と呼ばれ、カップルに人気の場所となってるのだ。
 
 
足の重い小宮をそこに座らせてあたしも隣に座った。
 
 
 
< 159 / 335 >

この作品をシェア

pagetop