おいしいチェリーのいただきかた☆
「ねぇ、お昼一緒に食べよ? イチョウのベンチで」
思わずそう誘ったのは、なんとなく胸がモヤモヤしたからだと思う。
小宮が、あたしと目を合わそうとしないから。
でもやっぱり小宮は目を伏せて言うのだ。
「今日は……お昼、食べないから……」
ズキン――
「じゃあ、あたしのお昼に付き合って!」
腕を取って、無理矢理外に連れ出した。
階段を下りて体育館へと向かう。校舎と体育館をつなぐ渡り廊下で道を外れ、煉瓦敷きの地面を歩いてイチョウの木に辿り着く。
この大きなイチョウの木の下にあるベンチは『イチョウのベンチ』と呼ばれ、カップルに人気の場所となってるのだ。
足の重い小宮をそこに座らせてあたしも隣に座った。