おいしいチェリーのいただきかた☆
「あん? お楽しみ中だったか、もしかして?」
「ナニ言ってんのイツキ。一緒にお昼食べてただけだよ」
「そっかそっか。ワリィな、小宮クン。お邪魔しちゃってよ」
「い、いえ、別に……」
萎縮しながら答える小宮。
「大丈夫? また傷が痛んできた?」
あたしは小宮の顔を覗き込んで訊いた。
様子がおかしい。
「具合でも悪くなった? 一緒に保健室行こうか? ごめんイツキ、話はまた後で……」
「ぼっ、僕なら大丈夫だから、比奈さんっ!」
「えっ?」
突然立ち上がる小宮。
ビックリした。
「僕、もう教室に戻るよ」
下を向いたままあたしを見もせずくるりと背を向ける。
なに? いきなりどうしたの?
イツキが薄っすら笑いながらその背中を見送る。
「あーらら。つめてぇな、お前のトモダチ」
「今日はちょっといつもの小宮じゃないみたい」
いつもの小宮はあんな素っ気ない態度なんてとらない。
ホントにどうしちゃったんだろ。
小宮が校舎の中に消えてった後、あたしに向き直るイツキ。
「それより比奈、週末のイベント、面白いのやるんだぜ今週。お前もこいよ」
イツキの話ってのは、どうやらクラブへのお誘いらしい。
それは楽しそうな話なんだけど……。
「ごめん。まだお店の手伝いやんなきゃいけないから。夜は遊べないよ」
あたしは肩をすくめて謝った。
なかなか新しいバイト、決まらないんだよね。