おいしいチェリーのいただきかた☆
 
体育館の壁が切れると同時に飛び込んでくる、二人の男子生徒の姿。
 
一人が、塀に押し付けたもう一人の襟元に掴みかかってるところだった。
 
 
「やめてイツキ!!」
 
 
大声を出すと、驚いた二人の顔がこちらを向いた。
 
一人は明るい茶髪で野生的な雰囲気の男子。首のタイを外してる。
 
確かにイツキだ。
 
もう一人は――
 
 
思わず、息を呑んだ。
 
 
すぐには誰だか分からなかった。いつものメガネが消えてたから。
 
頬のガーゼも消えてて、それがむき出しになっていた。
 
 
暴行の証。
 
 
青紫色に、腫れあがった頬の傷。
 
口の端からは真っ赤な血が滴って――
 
 
こんなの――あり得ない!!
 
 
カッと全身が燃え上がった。体中の血が沸騰した。
 
 
「なんてことすんのイツキ!」
  
 
勢いよく叫んで足を踏み出した。
 
 
酷い。酷すぎるよイツキ!
小宮がなにしたっていうの!?
 
 
 
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