おいしいチェリーのいただきかた☆
「イツキのことだって……小宮を殴るのは許せないけど、最低なヤツなんて思ってないよ」
そうだよ。あたしの友達はみんないい人で、優しくて、あったかくって。
最低な人なんて、一人も知らない。
「おいおい――。今更おキレイな友達ごっこかよ。自分で分かってねぇのか? お前って女はな――」
「やめろっ!!」
その時、何かが横を駆け抜けた。
なに? なにが起こってんの?
驚きのあまり硬直するあたし。
小宮が……イツキに掴みかかってる!?
「てめっ……」
「君は比奈さんの友達じゃないのか!? なんでそんなことが言えるんだ!?」
いつもの小宮からは考えられない強い口調。
怒ってる!? あの小宮が!?
「大事なものを守りたいなら、別のやり方があるはずだ! 暴力に訴えたり、ひねた言い方で守りたいものまで傷つけるなんて、まるで子供じゃないかっ!」
「なんだとこの野郎っ!」
取っ組み合いが始まった。小宮を押し返すイツキ。
小宮のタイを掴んで引き落とし、胸板に膝をめり込ませる。なんてことを!
続けざまに落とそうとする肘打ちを止めるため、あたしはその腕に飛びついた。