おいしいチェリーのいただきかた☆
「やめてよイツキ! 小宮が死んじゃう!」
「うるせぇ! 女は引っ込んでろっ!」
ドンッ、と激しく突き飛ばされた。
やっぱりあたしじゃどうにもならない。
地面に倒れた拍子に膝をしたたか打ち付けた。
「っ! 比奈さんっ」
お腹を押さえてうずくまってた小宮が顔を上げる。
あたしの心配してる場合じゃないって。
「女の子に手をあげるなんて――」
「なんだよ、ひょろメガネ。やんのか?」
挑発的に笑うイツキを見上げ、地面に手をつく。立ち上がろうとするけど、力が足りずにまた突っ伏す小宮。
いいから。あたしのことはいいから、ムリしないで。
だけど小宮は再び起き上がるのだ。どう見てももう限界なのに。
ふらつきながらも目だけは強い光を持って、イツキを真っ向から睨むのだ。
「もう、僕は遠慮しない」
はっきりと、意志を含んだ声。