おいしいチェリーのいただきかた☆
 
「んだと――」 
 
「君たちの間には強い絆があるんだと思ってた。僕なんかには割り込めないような。だから引こうと思ったんだ。――でも、それは間違いだったって、今分かったよ」
 
 
雰囲気がいつもと違う。気弱な小宮じゃない。
 
一瞬驚いた顔した後、目に険しさを増すイツキ。殺気のようなものが漂い始める。
 
 
「……はっ。言うじゃねぇか優等生。二度と立てなくしてやろうか?」
 
 
イツキの迫力にごくりと喉を鳴らすあたしの横で、足を踏ん張る小宮。
 
逃げて欲しいのに、イツキの脅しにも動じる風がない。襟元に手をやり、タイを掴みながら言うのだ。
 
 
「殴りたいなら殴ればいい。だけど僕は絶対に引かない。……そうだよ。優等生が、なんだってんだ! そんなの関係あるもんか!」
 
 
力強い声が辺りに木霊した。
 
言い放つと同時に身を起こし、タイを引き抜く小宮。
 
まさかやる気なの!?
 
 
「言ったなメガネ! どんだけ強がれるか試してやるよ!」
 
  
「負けるもんか! もう迷わない! 大事なものは自分の力で守るんだっ!!」
 
 
空気が弾けた。
 
投げ捨てられたタイが宙を舞う。
 
 
なんなの!? なんで二人がいがみ合うの!?
 
 
 
「やめてぇ――っ!!」
 
 
 
 
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