おいしいチェリーのいただきかた☆
「先生! あっちですっ!」
その時、麻美の声が聞こえた。
先生を呼んできてくれたんだ!
まさに天の助け。
あたしはさっと起き上がり、麻美の声に反応して止まった二人の間に割り込んだ。
小宮の前に両手を広げて立つ。
これ以上、一発だって小宮を殴らせない!
「比奈さん、危ないからどいて!」
でも信じられないことに、小宮に肩を掴まれ、脇にどけられる。その力強さにびっくりした。
小宮ってこんなに力あったっけ!?
「こらぁーっ! ケンカしてるのはどこのどいつだぁーっ!!」
「チッ!」
息巻いてる先生の声に、イツキは拳を下ろして舌打ちした。
麻美ったら、ナイス人選! あの声は、筋肉マンの呼び名が高い体育教師だ。その豪腕は岩をも砕くとか。
苛立たしげにあたし達を一瞥した後、イツキはまた舌打ちをひとつして踵を返した。
麻美達がやってくる方向とは逆の方向に足を向ける。
そして、風のように走り去っていってしまった。