おいしいチェリーのいただきかた☆
「比奈さん、大丈夫!?」
呆然とイツキの背中を見送ってると、いつのまにか小宮があたしの顔を覗きこんでいた。
心配そうな顔。
大丈夫って……それはあたしのセリフだよ。
「平気平気。まったくイツキったらどうしちゃったんだろうね。ホントにごめんね小宮」
笑おうとしたけどうまく笑えなかった。
頬が引き攣ってる。あれ? なんか泣きそうだあたし。
歩こうとしたら足に痛みが走った。
ああ。膝を擦りむいてる。どうりでさっきから痛いと……。
「比奈さん……。足、怪我してる。一緒に保健室に行こう。僕は大丈夫だから……彼のことも、そのうちなんとかなるよ、きっと。だから安心して。ね?」
言われて見上げると、小宮の優しい瞳があたしを見つめてた。
どう見ても全然大丈夫じゃないのに。ムリしちゃって。ひとの心配ばっかして。
頭を……撫でてくれた。
なんだかくすぐったくって気持ちいい。
あはは。おかしいね。いつもと立場が逆だ。
小宮に励まされるなんてね。
いつのまにか潤んでた視界を閉じて、こくん、とひとつ頷いた。
もう一度顔を上げた時には、笑ってみせることができた。