おいしいチェリーのいただきかた☆
 
「ハイハイ。いくらでも吠えてて。そろそろあたし帰るよ。この後バイトだから」
 
「えーっ。この後ヤケ食いに付き合ってくれるのが友達ってもんじゃないの~!?」
 
「悪いけどそんなに暇じゃないのよ。じゃ、また明日ね、比奈」
 
うわっ! ホントに帰ろうとしてる!
麻美ったらヒドイ!
 
「ちょっと待ってよ麻美! 一緒に帰ろうよ~」
 
あたしも鞄を持って立ち上がる。帰る準備帰る準備、っと。
 
「早くしてよ」
 
と、窓の外に視線を投げてた麻美がふと何かに目をとめたようで、
 
「……あれ?」
 
と首を傾げた後、あたしに向き直った。
 
「やっぱあたし先に帰るよ、比奈。グラウンド見てごらん」
 
「えっ? なんでなんで?」
 
急に先に帰るだなんて、淋しいこと言うじゃない?
 
ちょっとむくれつつ、麻美の指差す先を見る。
 
そこはいつもと変わりない夕暮れのグラウンド。運動部の元気そうな練習風景が目に入る。
 
これがどうかしたんだろうか――って。
  
 
えええっっ!?
 
  
「こっ、こみやぁぁ!?」
  
 
 
 
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